経済面でのK字型の動きは、社会的な格差をもたらします。
経済の悪化により収入が減少する人が増える一方で、株をはじめとした資産を持っている人は株価の上昇により資産が増加する人が現れることで、経済格差が拡大するからです。
(2021年11月5日、米国株が最高値を更新したことなどがニュースで報じられました。最高値をつけた米国株をもっていた人は、資産が増えたことになります)。
会社レベルでは、業績を伸ばす会社と倒産する会社、個人レベルでは株や十分な現金などを所有しており普段の生活が問題なくできる人と普段の生活が困窮する人という具合です。
ではここからK字経済について、すぐわかるよう丁寧に解説していきます。
経済のK字型とは何?分かりやすい例で解説!
K字型とは、会社を例にすると、アルファベットKの字のように業績を伸ばすグループと業績が落ち込むグループとの二極化がすすむ状況のことを指します。
株高で潤う富裕層と、困窮する持たざる層。正規・非正規雇用の歪み。二極化する「K字経済」を放置すれば、格差の固定化や市場の波乱などコロナ後のリスクが増す恐れがあります。https://t.co/tfGUSejScP
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) May 30, 2021
会社の業績がよいと、設備などへの投資に使え、更に業績を伸ばすことも可能となり、いずれ社員へ収入アップという形で還元も期待できます。
業績が落ち込むと、設備投資にまわすお金もなく、社員への還元も期待できません。
(経営者は、会社が倒産したら元も子もないので、会社存続のための施策を行います。そして、その結果、社員の還元は後回しとなります)。
つまり、自分の会社がどちらのグループ(業績を伸ばすか、落ち込むか)にあるかで個人レベルでいえば、収入が違ってきて、最終的には富裕層と貧困層とに分かれることとなります。
(リストラされて失業し生活困窮者になることもありえます)。
経済のK字回復が意味するもの。生活への影響とは?
コロナ禍において製造業が急速に回復する中、対面サービスが多くなる外食産業や観光産業などの非製造業の回復の遅れとして現れており、二極化がすすんでいます。
つまり、普段の生活ができる人とできない人とが出てきている状態です。
しかし、「このままだとマズイよね」ということで、政府が大規模な金融緩和や財政出動といった政策を行おうとしております。これにより、倒産や失業を抑制しようということです。
特に、飲食・宿泊・観光など対面サービスを提供する中小の会社は、売上の大幅減少が続き、危機的状況にあり、厳しい経営環境の中、雇用維持に取り組んでいます。
コロナ禍で困窮する会社への重点的な支援の拡充や迅速な執行と、感染状況を踏まえた需要と消費の喚起により売上確保などの支援が必要となります。
「K」の字の右下向き側になった場合、かなりの努力が必要となり、努力しても右上向きの側になるとは限りません。
そこで、政府による経済対策が必要になるかと思います。
その財源はどうするの?などの議論はあるかと思いますが、政府の経済対策が失敗した場合、ますます経済の二極化がすすむことになり、日本に暮らす私たちから税などでの徴収もできないという負のスパイラルに陥ることになります。
まとめ
K字型の回復とは、経済の二極化(格差)を意味します。
特にコロナ禍が世界で流行っている中では、国間での格差、ITや製薬会社などの業界と対面サービスを主とする業界との格差、同じ業界内でも企業間での格差、正規雇用と非正規雇用とでの収入格差など、いろいろなところで二極化がすすんでいます。
経済の格差が深刻な米国では、バイデン大統領が中間層の復活をうたい、K字経済の克服に富裕層への増税などで対応しようとしております。
日本では、2021年10月8日に岸田首相が所信表明演説で富の再分配と格差の解消をうたいました。
日本含めた世界の動きを注視して、ひとりひとりが自分事として捉えて動いていかないと、会社にしろ個人にしろ、厳しい世の中になっていくこととなります。