1人の先生に対して
生徒2,30人を指導する授業スタイルでは
1人1人の生徒を手厚くサポートするには
なかなか難しい場面もありますよね。
「この子は、この部分をクリアしたら
もっと伸びるのに…!」と思っても、
担当する授業やクラスは多いので
満足に対応できなければ、
心残りは積み重なるもの。
この悔しい思いを解決できる手段が、
チームティーチングです。
チームティーチングは
複数の先生が1つの授業を行う事です。
集団学習において、児童生徒1人1人に、
よりきめ細かく対応するための
画期的な手段です。
今回は、子どもの学習効率を
なんとかして上げてあげたい!と考える
指導する立場の方は、とくに参考になると思います。
生徒の力を伸ばす手段?!チームティーチングとは何?
![チームティーチング1](https://zen-tokyo.jp/wp-content/uploads/2022/02/チームティーチング1.jpg)
チームティーチングは実際のところ、
小学校や中学校、特別支援学校だけでなく、
学習塾でも取り入れられています。
小学校の頃に、
英語の授業で先生が2人いた!
なんて記憶もある方もいるでしょう。
1人の先生が授業を行い、
もう1人の先生が生徒の状況に合わせて、
勉強をサポートできるので、
1人で授業を対応するよりも、
はるかに学習効率が良くなる方法です。
つまり、児童生徒の理解度・進度に合わせて
適切なサポートがしやすいので、
子どもが効率よく着実に力をつけやすいのです。
1950年代にアメリカから始まり、
1960年代から日本の教育現場においても
普及されはじめて現在まで、
チームティーチングの指導スタイルは健在です。
もちろんただ複数の指導者が
「その場にいるだけ」では、
この指導方法はあまり意味がありません。
チームティーチングで
授業を成功させるためには、
教員・講師・指導者の連携や協力、
役割分担を明確にすること、
そして指導方法を確立しておくことが重要です。
またそのために各指導者の特性を
お互いに理解しておくことも大切です。
指導する側がブレてしまうと、
児童生徒たちも信じてついていくことに
迷いが生まれてしまいます。
授業をつくるまでの手順を簡単におさえておきましょう。
いわゆるPDCAサイクルですね。
質の向上を図るためには、
とても重要なサイクルです。
サイクルを回しながら、
ある程度授業の質が保てるようになったら
次は、授業の質に厚みを持たせることを考えるといいです。
OODAループと呼ばれる考え方を
意識してみるといいですよ!
チームティーチングのメリットとメリットは?
![チームティーチング2](https://zen-tokyo.jp/wp-content/uploads/2022/02/チームティーチング2.png)
日本でチームティーチングが開始されてから約60年。
ここまで色んな方が、様々研究を重ねています。
これはチームティーチングの
メリットもデメリットも良く分かってきたということです。
ここまでの成果で見えてきたものを整理してみます。
チームティーチングのメリット
チームティーチングのメリットは、
なんといっても1人1人の児童生徒に
より適切な指導ができることだという声が多いです。
他にも様々なメリットが挙げられます。
・特徴の違う指導者の特性や強い部分(専門性)を提供できること。
・児童生徒の理解度・進度、特性を捉えて、グループ分けすることができるので、マッチした指導を行いやすいこと。
・学習評価を様々な角度から行えること。
・生徒児童の個性を伸ばしやすくなること。
・生徒児童の悩みを把握しやすいこと。
・生徒児童の授業展開を臨機応変に柔軟に変化させることができること。
・幅広い活動がしやすくなること。
・生徒児童同士の気づきの機会を増やすことができること。
意見を整理すると、
個別対応の強さがやはり挙げられます。
1人の児童生徒に対して
角度の違う指導ができることは画期的ですね。
チームティーチングのデメリット
チームティーチングのデメリットは、
手厚く指導が可能になる分、
時間がかかる授業になってしまいやすいことが
問題点・懸念点として、よく挙げられています。
他にも挙げられたデメリットを紹介します。
・役割分担が明確でないと、指導者AT(アシスタント)が管理のみで終わる可能性があること。
・長期的な成長を見越した指導ではなく、1問1答で完結してしまう可能性があること。
・全体としての授業目標を達成できない可能性があること。
・指導者同士の考え方の違いの擦り合わせが困難になる可能性があること。
・児童生徒以前に指導者同士が合わないことから、協力関係を築けない可能性があること。
・児童生徒が、集団として授業を捉える力の育成が弱くなる可能性があること。
・指導者同士が協力できていない・授業に対する方針を確認しあえてないと質の高い授業がつくれないこと。
デメリットを整理すると、
生徒児童に対するものというより、
授業を展開する指導者同士の協力関係が
成功の鍵として強い面があることがわかります。
いかに互いが協力し、情報をシェアし、
授業をブラッシュアップしていけるか、
ここが大切なんですね。
チームティーチングのやり方!具体的な例を紹介!
![チームティーチング3](https://zen-tokyo.jp/wp-content/uploads/2022/02/チームティーチング3.jpg)
メリットデメリットを
どちらも挙げてきましたが、
実はメリットを感じている方も多く、
チームティーチングを積極的に活用する例も増えています。
小学校、中学校、特別支援学校だけでなく、
幼稚園や保育園でも活用されてきています。
ケース1:信頼友情の指導
https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/spl/doutoku/files/active_learning_3.pdf
このケースは、
「友達への注意」をテーマに
信頼関係を築くことについて授業を行っています。
T1とT2を違う意見を持つ人として
明確に役割分担を行い、
児童への気づきの機会を作っています。
実際にこの授業を受けた児童は、
・違う意見をそれぞれの先生が話してくれて、わかりやすかったしおもしろかった
・その子のことを思ってアドバイスしたいと思う。
・本当の友達なら、きっとわかってくれると思う。
と、当初の狙い通り気づきを得たようです。
ケース2:語学学習
日本でも英語の授業で
よくTTは採用されていますが、
外国の子供たちへの日本語教育の場でも
TTは活かされています。
語学学習の場合は、
外国人同士の指導者がチームとなり、
ネイティブの発音を吸収の早い生徒児童へ
正確に言葉を伝えられることが大きな強みです。
コミュニケーションの楽しさも感じやすいので、
自然と楽しい環境を提供できている様子は、
TTを成功させている効果ですね。
ケース3:特別支援学級
茨城県教育研究センターの
特別支援教育課によってまとめられたものです。
指導のポイントや工夫の方法、
指導案の作り方、実際の実践例など
詳しくまとまっているので、
凄く参考になると思います。
実践例は12ほど挙げられていますが、
そのうちの
- 実践例10 自立活動「上手に聞こう」
- 実践例12 数学「ボウリングをしよう」
の2点が参考になります。
数学「ボウリングをしよう」では、
・数えること
・集めること
・比較すること
について、
実際の体験から理解を深めていく、
そんな内容になっています。
この授業は
MT(T1:メインでリードする教員)1名、
AT(T2、T3:サポートする教員)2名、
で進められています。
T1を中心に授業を進行し、
T2、T3は、サポートが必要な場面を
よく観察し適宜、生徒にかかわりを持っていくスタイルです。
楽しいという感情の体験を大切にしつつ、
生徒のサポートもしっかり行う、
その様子が感じられて、チームワークが成果をあげたと思った例でした。
どんな風に、教材を用意したのか
指導者の実践経験談も載っているので
参考になる資料でした。
まとめ
指導する立場は、
先生と呼ばれる人はもちろん
子育てや会社での後輩育成などでも
同じことなのかなと思います。
チームが大切だと、
耳にタコができるほど聞かされてきましたが、
その意見は、やはり無視できないなぁと感じます。
特に指導者同士のチームワークが
指導成功のカギという点は、
授業の技術よりも前に大切なことだと思いました。
今回の記事が
あなたのチームティーチングに
役立てたら嬉しく思います。